La Vie en Rose

思考の備忘録

0304

‪小学校低学年ぐらいの頃に、森絵都さんの『カラフル』を読んだことがある。

母が「森絵都さんなら読みやすいんじゃない」と買ってくれたのがきっかけだった(今思えば何が読み易さの判定基準だったのかは謎)。内容はうろ覚えなんだけど、たしか主人公の男の子が片思いしていた女の子が、援助交際をしていた描写‬があった。これも朧げな記憶だけど、それに関する直接的な言葉は出されず、読者が自然と「ああそういうことなんだな」と察するような描かれ方をしていた気がする。

当然、小学校低学年の私はそれが一体なんなのか分からず、なんなら初めて"援助交際"という概念に触れたのはこの作品だったかもしれない。それに対して主人公が抱いた衝撃、喪失感、嫌悪感などを鵜呑みにしてしまった印象がある。好きな子がどうして、いけないことだ、"綺麗だと思っていたのに"と。

 

正直に言ってしまうと、小学校低学年以来『カラフル』を読み返していない。それでも、今読み返したら確実に当時とは異なる受け取り方が出来るのだと思う。今の私は「援助交際」がどういうことなのか分かっているし(少なくとも概念上は)、その事実一つで少女の「綺麗/汚い」が判断されるべきでないと思っている。尚且つ、むしろ主体的にそれを行うことで「性」の主導権を握っている彼女のことを好意的に受け止めるような気もする。

 

何はともあれ、読み返す前にファーストインプレッションのことを書いておかないと上書きされてしまう気がしたので急いで記しました。

気持ちに余裕があるときに読み返そうと思います。